著書のご案内



 ナイロン・ザイル事件 
         1956年7月 岩稜会発行


<活字化版> 2017.7.10 限定30冊発行
発行者 石岡繁雄の志を伝える会




<PROFILE>の
1956年7月1日より
全文がご覧いただけます
―はじめに―

 本活字化版は、石岡繁雄が所蔵していた冊子『ナイロン・ザイル事件』を底本としています。
 冊子『ナイロン・ザイル事件』は、 1955(昭和30)年1 月2 日前穂高岳東壁で起きたナイロンザイル切断事故の原因を明らかにし、事故の再発防止と関係者の名誉回復を図るために、岩稜会が1956(昭和31)年7月1日に発行したものです。
ワラ半紙に、手書きでガリ版印刷された冊子(B5 版310頁)は、当時160 部作られ、新聞社・雑誌社・日本山岳会・山岳関係者・石岡の知人らに送られました。しかし、現存しているものはほとんどありません。発行から60 年を経て、石岡が所蔵していた冊子も擦り切れや破れ等にワラ半紙の劣化も加わり、あと数年もすれば読み返すことすら困難な状態となっています。
 地域的な紛争やテロが多発し政治・経済とも不透明感が増す一方で、相変わらず企業の利益優先主義は多くの不祥事を生んでおります。今でも「ナイロン・ザイル事件」は決して時代性をなくしてはおらず、立ちはだかる大きな権力に立ち向かい、真実を追究した石岡繁雄の志を広く伝え残していくことには意義があると考え、生誕100年を迎える今年、活字化版を製作することに致しました。
 編集にあたっては,石岡が50 年余りにわたって手元から放さなかった冊子に、あくまでも忠実に、なおかつ、多くのみなさまに読んでいただきたいという願いをもって行いました。
 ご一読いただければ幸いです。


2017年7月1日
石岡繁雄の志を伝える会






 遭難防止論 ―登山者のために― 
         1967年〜1969年頃 石岡繁雄 著


<活字化版> 2017.7.10 限定22冊発行
石岡繁雄の志を伝える会 編



<PROFILE>の
1974年12月15日より
全文がご覧いただけます
はじめに―

 登山家石岡繁雄にとって、「安全に山に登ること」とは「事故防止のために万全の注意をすること」であり、「万全の注意の不足に基づく遭難を防止すること」に他なりませんでした。
彼はそのために必要な「登山技術の確立」と「安全装置の研究開発」に力を注ぎ、機会あるごとに山岳雑誌や団体の機関誌に寄稿したり、講演を通じて「石岡安全学」の骨子とも言える遭難防止を伝える活動をしてきました。
 本書の原稿は、出版を前提として原稿用紙に浄書され、編集者による推敲がなされたものですが、必ずしも同一時期に書かれたものではなく、しかも未完成部分を含んでいます。1967年の活動内容が記載され、1969年には文部省(当時)の登山研修所の委員に就任していることなどから、ほぼこの頃まとめられたものと推測されます。
 さて、本書の活字化は「石岡繁雄の志を伝える会」にとりまして、2013年に名古屋大学博物館で「石岡繁雄の個人展」が開催される前からの懸案事項でしたが、石岡繁雄生誕100年目を迎える今年、ようやく実現することができました。
 石岡が将来の山岳界に託した想いは、現在の山岳関係者に引き継がれ、「登山装備のハイテク化」・「近代的な山岳遭難救助体制」・「『信州 山のグレーディング』『山登り10 訓』『登山を安全に楽しむガイドライン』など有用な山岳ガイドブックの作成」・「整備の行き届いた設備や登山道」・「優れた山岳ガイド組織」・「正確な気象情報」などの形で提供され、多くの登山者に恩恵を与えてくれています。
一方、登山人口の増加・高齢化と登山形態の多様化は、遭難事故の増加に結びつい
ています。今こそ改めて石岡の「安全学」を学び、基本に立ち返って「事故防止のた
めに万全の注意をすること」が大切ではないでしょうか。本書がその一助になれば幸
いです。

2017年7月
「石岡繁雄の志を伝える会」一同






 石岡繁雄が語る 氷壁・ナイロンザイル事件の真実  
                    ソフトカバー新装版  石岡 繁雄・相田武男著

2009.8.15 発行
   発行所 株式会社 あるむ 四六判 446ペ−ジ
   定価2100円

 ナイロンザイル事件をめぐり半世紀を越す戦いを持続された石岡先生と共に事件の顛末をまとめあげられた相田武男さんとの共著になる『石岡繁雄が語る 氷壁・ナイロンザイル事件の真実』は、2007年1月に発売以来、地方の小さな版元から世に送り出されたにもかかわらず、全国の有為の読者に受けとめられる所となり、お蔭をもちましてここに新装版を刊行するに至りました。
 本自体の「寿命」が短くなってきておりますこの頃です。そんな中で、本書がひとりでも多くの読者にあいまみえ、その結果「バッカスの肉声」(鳥居哲也氏)が世の中に少しずつ染み透っていってくれることを心から願って、『石岡繁雄が語る 氷壁・ナイロンザイル事件の真実』の新装版を刊行いたしました。

                         株式会社あるむ

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 屏風岩登攀記  
               ソフトカバー新装版  石岡 繁雄著

2007.6.2 発行
発行所 株式会社 あるむ 四六判
436ペ−ジ
定価2450円 

 本書には、命を守るべきザイルの不備によって落命した愛弟への痛恨をのべた墓参の記や、岩稜会によって初登攀された屏風岩中央カンテ登頂の手に汗を握るような克明な記録や想い出の山旅の記などをおさめている。
しょせん登山は「行」の世界であるとする氏の山に対する姿勢は、限りなく謙虚に、絶え間なく未来への夢で燃え、かつ不屈の闘志をひそめている。それは私たちが人生と言う登山を生きるのとよく似ていて、登山への愛情を語る氏の筆は、深い人間への愛を語って胸を打つ。

         田中澄江氏(『花の百名山』の著者)書評
              昭和53年3月12日付 「毎日新聞」より

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 石岡繁雄が語る 氷壁・ナイロンザイル事件の真実 
       石岡 繁雄・相田武男著

2007.1.25 発行
発行所 株式会社 あるむ 四六判 464ペ−ジ
定価2450円


 初めて明かされる全貌!井上靖の長編山岳小説
  『氷壁』のモデルになったナイロンザイル事件


 酷寒の北アルプス、一般社会から隔絶した絶壁で起きた思いもかけないザイルの切断。その原因を実験で究明し、社会に訴えたバッカス(石岡)にとって登山界の常識、社会が向ける目は、登攀することを拒否するようにそそり立つ岩壁そのものであったに違いない。しかし彼は、高く巨大な見えない絶壁をじりじりとだが、着実に克服した。21世紀を生きる人たちに、ナイロンザイル事件を通して語りかけるバッカスの肉声が聞こえる。

     「序」より……第4・8次南極越冬隊長 鳥居鉄也氏




 ザイルに導かれて 
    石岡 繁雄著

2005.4.30 限定版発行
発行所 株式会社 あるむ A5判上製箱入 340ペ−ジ
定価4000円

 私は87歳になった。最近友人のすすめがあって機会をえたので、半生をふり返って思い出の大きいものを本としてまとめることにした。
 本書は、私自身が折々に向き合ってきたさまざまな事柄について、登山家、物理学徒、市民として考え行動した結果を、関連する資料とともにまとめたものである。読んでくださる方がそれらの中に何か繋がりを感じられるとすれば、その繋がりが私というもののささやかな意志だと思っていただいてもよいのかも知れない。

                         −はじめに より−

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 屏風岩登攀記 

1949.9.25 発行
発行所 碩学書房

 清流梓の河畔にたたづみ、青空にそそり立つ岩壁を仰ぎつつ奇しくも展開された劇的登攀を回顧するとき、思いは遠く幻影の彼方へ羽ばたく。・・・・・・
激しかった一連の登攀はまた一場のロマンスシ−ンでもあった。
屏風岩の魔力に引きよせられてゆく著者、かねて用意されたとも見られる魅惑的なテラス、一夜の愛撫、永遠に消すことの出来ぬ形見の指輪、・・・・・・すべては千古の謎屏風岩が神秘のヴェ−ルをぬぐに相応しい場面であった。
本書が岩壁の滴によって生れたことを思えばその感が一層深いのである。

                      −谷本 光典氏−


1980.8.10 発行
発行所 中央公論社(中公文庫)


 技術的な限界に挑み友情への懐疑と闘いながら、5度目のアタックを敢行。
二人の教え子はついに難関をのりきったが、著者は一人岩壁にとり残された。
そして一つの岩壁に青春を賭けたことの意味を自問しつつ、朝を迎える―
日本登山史上の記念碑的手記。



1977.12.15 限定版発行
発行所 碩学書房


 穂高の中心涸沢の表玄関にそそり立って、山麓を行きかうアルピニストたちを睥睨する屏風の大岩壁は、戦前の登山界において、登攀不可能の象徴ででもあった。
 しかるに昭和22年夏、本書の著者石岡君は、二人の少年を連れてこの屏風岩を完登したのである。そのときの記録は『屏風岩登攀記』(昭和24年発行、本書の前身)として公表した。
 あの井上靖氏の小説『氷壁』のモデルとなったナイロンザイル事件をご存知だろうか。遭難者はこの石岡君の実弟である。私はくわしいことはしらないが、この事件と取りくんだ彼のヒュ−マニズムを高く評価している。
 いずれにせよ、彼が若き日に挑んだ屏風岩の登攀は、わが国における屈指のアドヴェンチァ−であり、本書の出版は、この異色ある山岳ドキュメントを再評価するうえで、まさに時宜にかなったものといえよう。

                        −序 今西 錦司氏−

   山岳雑誌「岳人」は、本書を山岳雑誌の中の第一位に選んだ。




 穂高の岩場 1 
    岩稜会著 

1959.7.15 発行
発行所 株式会社 朋文堂



若山 五朗君の霊よ!
君の尊くも若い生命と、私たちの
いくつかの汗でできあがった“穂高の岩場”を
謹んで君の霊前に捧げます

          −扉の言葉−



 穂高の岩場 2 
    岩稜会著 

1960.6.10 発行
発行所 株式会社 朋文堂 


    1,2巻とも、写真とル−ト図などで構成されている。

下は、<穂高の岩場 2> の66,67ペ−ジ。
屏風岩のハング登攀方法を解説してある。