2016年10月7日~2017年6月28日 |
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2014年の上高地展示で、自然公園財団上高地支部の方々とすっかり打ち解けた私たち「石岡繁雄の志を伝える会」は昨年10月7日の蕎麦会にもお招きいただき、奥原所長さまから上高地での2度目の展示のお話をいただいたことはこのHPの「紅葉の涸沢と蕎麦会」でもお伝え致しました。 (上の「」内の文字列をクリックしてください。その時の模様がご覧いただけます) 蕎麦会後の展示準備の様子を、日を追ってご報告いたします ご覧ください! |
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2016年 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
10月10日 奥原所長さまの展示構想を水野さんがメモとして残してくださいました。以下です。 2016.10.07自然公園財団上高地支部奥原所長来年度企画展構想メモ 1. 最近上高地・穂高連峰地域での山の遭難事故が多発している(今年9月末までに既に15名の死亡事故が発生)。 2. この事態は看過できず喫緊の遭難防止対策が必要である。 3. 従来も対策は行われており、改めて原点に帰った対策が必要と思われる。 4. 幸いこの地区に非常にご縁の深い石岡繁雄氏という遭難防止・安全対策の先達がおられ、来年は氏の生誕100年節目の年でもある。 5. 一昨年の展示会の反省も踏まえて、改めてその事跡を、自然公園財団と「石岡繁雄の志を伝える会」の共催で紹介したい。 6. 先ずは「伝える会」で展示の企画プランを早急に作成して欲しい。 7. それに基づき上高地地区の遭難対策本部との共催や、マスコミ(山渓や信濃毎日)・旅館組合からの後援を求めるなりを検討したい。 8. 開催時期は2017年7月~9月とする。 これを受けて、企画プランの作成を急ぎました。 |
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10月20日 展示の原案を作成して、奥原所長さま宛にお送りしました。必要部分のみ掲載します。 上高地企画展「石岡繁雄生誕100年と遭難防止(仮題)」原案 l 開催日時:2017年7月1日(土)~9月30日(土)9時~16時 l プレ開催日時:2017年6月30日(金)10時~16時 l 場所:上高地インフォメーションセンター2階多目的ホール l 共催:一般財団法人自然公園財団上高地支部(以下「自然公園財団」) :「石岡繁雄の志を伝える会」(以下「伝える会」) l 後援・協力:環境省松本自然環境事務所・長野県警察本部・岐阜県警察本部・上高地山岳遭難対策本部・上高地観光旅館組合・北アルプス山小屋友好会・㈱山と渓谷社・信濃毎日新聞社・名古屋大学博物館・名古屋大学大学文書資料室… 展示の骨子 遭難防止についての取り組みは関係官庁や遭対本部・山岳会等諸団体によって、日々様々な取り組みがされている。 石岡は、過去の人ではあるが生涯取り組んだ「登山者を山で失わないこと」「安全学」は、今も「ナイロンザイルの安全基準」や登山用具の開発等で息づいている。 「石岡繁雄の志を伝える会」は、遭難防止の実践者ではないが、石岡の志を伝えるためにこの取り組みの一助となればと、非力を顧みず本企画展の原案を以下に述べる。 1. 昨今多発する上高地を起点とする穂高連峰地区の山岳遭難事故を軽減するために、遭難防止の関係官庁・団体のご指導・ご協力のもとに以下の展示パネルを自然公園財団に作成していただくことを提案する。 ① 石岡が安全基準を制定させた1975年以降の穂高での遭難死の実態を調べあげる(この40年間の遭難を調べるのが無理であれば、石岡の死後から現在までの実績でも良いかもしれない)。→遭難年月日時間・遭難時の天候・遭難場所・遭難の形態(岩壁登攀中の滑落・登山道での滑落・雪崩・疲労死・凍死等)・遭難時の登山パ-トナ-の人数・所属:山岳会、ツア-会社、個人等・判れば登山経験年数(空白期間があればその実態も)・遭難者の装備・登山届の提出の有無・遭難時の写真があればなお良い。 *平成15年から25年のデータと分析については、H26.3.25付長野県山岳遭難防止対策検討会(座長櫛田重節氏)の「山岳遭難の現状と今後の防止対策について」に詳しい。 ①の中から、象徴的な遭難(滑落等、数の多い遭難の内での)をピックアップして、遭難防止を専門とされる遭対・山小屋関係者の皆様のご意見を反映しつつ、石岡執筆の遭難防止論も紐解いて原因を探る。 ② ①を表にしてパネル化する。 ③ ③でパネル化した物からピックアップして遭難原因を、写真を交えて判り易く解説したパネルを作成する。 ④ 登山に必要な装備を、具体的にパネル化(一般初心者登山客用):例えば上高地から横尾までに必要な装備。涸沢から奥穂・北穂等の本格登山に必要な装備等と、登山届を出さなければならない限界の提示。 2. 石岡が取り組んだ遭難防止と安全学について(「伝える会」が準備する) ① 石岡の登山歴(岩稜会と屏風岩初登攀を含む) ② ナイロンザイル切断により肉親を亡くしたことへの悲しみと怒り→ナイロンザイル事件(井上靖『氷壁』執筆まで概要含む)・登山用緩衝装置等の発明→ザイルの安全基準の確立→安全学の追求→石岡没後のナイロンザイルの研究と成果(NITE・東北学院大学名誉教授高橋光一先生) ③ 遭難防止論と登山研究所での遭難防止の取組等 3. 展示物について ① ナイロンザイル切断ミニ実験装置(現在石岡家で保管中。使用する3mmナイロンロ-プは「伝える会」で用意する):本機の実験には「伝える会」解説員が最低1名必須のため、不在時はミニ実験装置は使用しないこととする。 ② 石岡の展示に使用する物品や資料等は厳選の上、名古屋大学から貸出を受ける。 ③ 前穂で切れたナイロンザイルの実物・五朗使用のアイゼン・岩角の石膏型等は大町山岳博物館に寄贈してあるので、財団に貸出を受けていただく。 ④ ハンズオン形式の資料・石岡執筆の本や冊子は、現在石岡宅にある物を使用して展示。 4. 期間中の講演会について(場所はインフォメーションセンター1F休憩所を使用できないか) ① 遭対の山口氏等、遭難救助に力を尽くしてみえる方々に、安全な登山について講演していただく。 ② 北アルプスでの昭和30年代からの遭難と、現在の遭難の質の違いについて、澤田さんに講演していただく。 ③ 若山五朗遭難時のザイルパ-トナ-石原さんと澤田さんにナイロンザイル事件についてのト-クショ-をしていただく。 5. ビデオの放映(インフォメーションセンター1F休憩所にて) ① 山岳事故についてのビデオ ② バッカスの軌跡・屏風岩登攀記のビデオ 6. 企画展「石岡繁雄生誕100年と遭難防止(仮題)」の想定される問題点 ① 展示の軸の遭難防止には、現場で苦労されている遭対や山小屋関係者のご協力は不可欠であり、早急に協力体制を取る必要がある。→ いつまでに協力体制を取れれば良いか? ② 石岡が解明したナイロンザイルの岩角欠陥は、科学的な実験を繰り返して証明する実証的なものであり、ナイロンザイル事件は企業と学者の癒着による生命軽視を告発するものであった。石岡が取り組んだこの「安全学」は、元より人命尊重の思想からくるものであるが、それをどのように現在の遭難防止に繋げていくかが問題である。→ 安全に係る登山用品の使用限界の明示、登山装備の事前チェック制度、登山者の資格制度の導入検討、登山ルートの難易度の明確化と入山規制、等々の提案が必要であるが、それは可能か? ③ 従来の「石岡繁雄と氷壁を越えて」展示は名古屋大学作成のパネル類(石岡の一生を追うもので、ナンバ-がつけられている)を転用してきた。次回の石岡の展示を、遭難防止を主に考えた場合、文章パネルは全面的に作り直しをした方が良いが、費用と時間両面で大きな負担となるので、上記1.の内容に準じて、「伝える会」は遭難防止に的を絞ったパネルのみを作成し直す。 ④ 展示会場のスペ-スの問題があり、遭難防止と石岡の展示を両立するために、早急なレイアウトの事前検討が必要である。(前回の展示でも狭いと感じられた) ⑤ 展示物の保全のために前回の展示の際は自然公園財団からの要請で「伝える会」の常駐駐在員を置いたが、次回展示では、できればその業務は自然公園財団にお願いして、「伝える会」からは設営・撤収時(会員全員)と講演会など特定時のみ2名程度の派遣に留めたいが、それで機能するか? この他、父の「安全学とは」など、10頁に及ぶ企画書を作成しました。 |
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10月21日~12月3日 上高地閉山が近づき、お忙しくなった財団との連絡は途切れましたが、展示パネルの選定やパ-テ-ションの組み方など、試行錯誤しつつ案を練りました。 また、以前から温めてきた父の遺した『山岳遭難防止論』の原稿の活字化と、冊子『ナイロン・ザイル事件』の活字化を早急にして、本として展示しようということになりました。『山岳遭難防止論』の入力作業は豊田高専山岳部OBの滝川さんが、『ナイロン・ザイル事件』の入力作業は小川隆平さんがしてくださることになりました。 <この期間の主な出来事> 11月9日:名大文書資料室へ目録作成用に借り受けたスクラップブックなどを一旦お返しする。 |
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11月27日・28日 水野さん・前田さん・立岡さんと展示など打合せ。 前田さんは『穂高の岩場Ⅰ,Ⅱ』のスキャニングの仕事をはじめてくださる。 |
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27日 拙宅に着かれた立岡さん(左)と前田さん スキャンの仕方やパソコンへの入力方法など打合せをしました |
夕食は、立岡さんの好きなお好み焼きでおもてなし |
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でっかいよ! |
水野さん(右)と前田さん |
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やっぱりビ-ルが好いな! |
前田さんと私は同級生です |
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12月2日:小川隆平さんが取り組んでくださった『ナイロン・ザイル事件』の活字化終了。 12月4日~6日:石原國利さんが何年も前からお誘い下っていて、実現しなかった石原さん宅訪問が実現しました!(「九州への旅」の頁をご覧ください)「」内の文字列をクリックしてください 12月14日~16日,28日・29日:『ナイロン・ザイル事件』読合せ合宿。水野さん・小川夫妻と共に、300頁以上の読合せです。隆平さんの入力にも脱帽でした。 12月27日:ミニ実験装置のステンレスの刃が切れなくなってしまったので、水野さんがお友達の那須鉄工の社長さんに、焼入れ鋼で作ってくださるようにお願いに行かれました。 |
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2017年 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
1月10日:那須鉄工所に、水野さんと前田さんが実験用の刃の加工方法を説明に行かれました。 1月19日:実験装置用新刃が2セット出来上がったと那須鉄工所よりご連絡があり、水野さんが受取に行かれて、現地で簡単な実験もされて、とても良い仕上がりだと言うことでした。 |
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1月22日:『遭難防止論』と『ナイロン・ザイル事件』の凡例の打合せと、ミニ実験装置の新しい刃による実験を行いました。 実験結果と写真は以下です。 新刃によるナイロンロープ切断試験結果 ●テスト日時:2017年1月22日(日)13:45-14:40 ●天気:小雨 ●気温:10℃ ●場処:石岡家研究所棟1F ●参加者:あづみ・前田・小川夫妻・水野 ●目的:1月19日㈱那須鉄工所の好意で焼入れ鋼製新刃2セットを新たに製作していただいたので、手持ちのロープで切断実験をした
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前田さんを中心に実験がはじまります |
実験の模様を映像でとらえて その後分割した写真(以下14枚) 隆平さんが写真にしてくださったら、切れてゆく様がはっきりと分かり、とても興味深い |
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1本切ると、糸屑が残ります |
水野さんが実験結果を黒板に書かれます |
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切れなかったナイロンロープ |
ロ-プの切り口を検討中 |
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切れ口はこのようになります |
昨年9月27日来訪の高橋先生が持って来られた 2mmオレンジナイロンロープの切れた跡 上の写真をクリックしてください 高橋先生来訪の頁にご案内します |
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8本のロ-プの切れ口 |
ナイロンロープの実験結果 |
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第一回展示打合せ会議 |
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遭対協(長野県山岳遭難防止協会)さんからご提供の遭難現場の迫力ある写真をパネルにしました 上の写真パネルをクリックしてください 続きがご覧いただけます |